過剰在庫処分で節税ができる!損をしない過剰在庫の処分方法とは

「過剰在庫をうまく処分できれば節税につながるという話を聞いたけれども、具体的にどうすればいいのかがわからない」というご相談をよく受けます。

たしかに決算時に過剰在庫があると余計な税金が発生しますから、過剰在庫を効率的に処理できれば、節税できるのは間違いありません。

今回は過剰在庫と税金の関係や具体的な節税方法について、わかりやすく解説していきます。過剰在庫で節税ができる処分方法について検討中の方は、ぜひ参考にしてください。

過剰在庫に関係する税法上の扱い

まずは過剰在庫が税法上どのように扱われているのかをご説明します。この章でお話しするのは、以下の4点です。

  • 過剰在庫も課税対象?
  • 経費に算入できる費用
  • 過剰在庫の評価方法
  • 過剰在庫にかかる消費税

それでは詳しくみていきましょう。

過剰在庫も課税対象?

ここではもう一度「過剰在庫は課税対象として扱われ、決算まで残った分に対して税金がかかる」ことをしっかりと理解していきます。

もしかすると、「在庫は売れないから在庫になっている。その在庫に税金がかかるのはおかしい」そうお考えになる人もいらっしゃるでしょう。

しかし厳密にいえば、過剰在庫に対して直接課税されるわけではありません。在庫は売上原価に含まれないため、その結果税金が高くなるのです。

課税のもとになる売上総利益は、以下の式で計算できます。

売上総利益 = 売上高 − 売上原価

上記の通り、売上原価が低ければ売上総利益は高くなるのがおわかりだと思います。注意したいのは、「今期仕入れた金額 = 売上原価ではない」ことです。

売上原価は、「期首在庫 + 当期仕入額 − 期末在庫」で算出できます。

売上原価に含まれるのはあくまでも実際に販売された分だけなので、期末在庫が多ければその分売上原価は下がるわけです。その結果、「売上原価が下がれば税金が高くなる。しかし肝心の商品が売れていないから税金を払う現金がない」という負のループにおちいります。

多くの会社が「決算大セール」をおこなうのは、決算までに過剰在庫を処分して、税金を削減しようとしているのです。

経費に算入できる費用

前述の通り、在庫が多いと課税額は大きくなります。在庫といえば、購入(製造)した代金だけが資産価値のように思われがちですが、販売や検収にかかった費用なども資産の一部です。

そのなかでも、経費として仕入金額から差し引くことを認められている費用があります。以下にあげた費用の合計が、在庫の購入代金のおおよそ3%以内であれば、仕入れ価格から差し引くことも可能です。

【購入した場合】

  • 買入事務・検収・整理・選別・手入れなどにかかった費用
  • 販売所間の移動にかかった運賃や荷造費
  • 特別な時期の販売に必要な保管費用

【製造した場合】

  • 製造後の検査・検定・整理・選別・手入れなどの費用
  • 製造所から販売所までの運賃や荷造費
  • 特別な時期の販売に必要な保管費用

また「借入金の利子」のように、3%の縛りがなく、いつでも仕入れ価格から差し引ける費用もあります。ほかにも差し引ける費用はたくさんありますので、詳細は国税庁のサイトで確認してください。

参考:第1款 購入した棚卸資産|国税庁

参考:第2款 製造等に係る棚卸資産|国税庁

過剰在庫の評価方法

今度は過剰在庫の評価方法についてみていきましょう。過剰在庫の評価方法には、大きく「低価法」と「原価法」の2種類あります。2つの違いは、ぜひしっかりと頭に入れておいてください。

低価法

低価法とは、後述する「原価法で求めた評価額」と「期末時価」のどちらか低い方を、評価額に設定する方法です。

通常は原価法を用いて計算しますが、原価法での評価が期末時価よりも著しく下がった場合は、強制的に低価法が採用されます。また平成21年より、上場企業では低価法による評価が、強制適用されることになりました。

また前期に原価法で計算していて当期から低価法に切り替える場合、当期確定申告の提出期限までに、新しい評価法の届出を提出しなければなりません。変更する場合は忘れずにおこなってください。

原価法

さきほど上場企業は、強制的に低価法が適用されるといいました。一方で中小企業の場合は、事前に評価法を申請しなければ、自動的に原価法の「最終仕入原価法」での計算となります

通常わざわざ事前申請をする会社はほとんどありませんので、日本に存在する企業の約99.7%を占める中小企業の多くは、最終仕入原価法で計算していると考えてください。

とはいえ希望すれば、以下6つの原価法のどれを選択しても問題ありません。

  • 総平均法
  • 移動平均法
  • 最終仕入原価法
  • 先入先出法
  • 個別法
  • 売価還元法

前述の最終仕入原価法とは、決算の直前に仕入れた価格を全在庫の平均価格に設定する方法です。

それまでにいくらで仕入れをしようが、あくまでも最後の仕入れ価格が平均単価になりますので、計算が非常にシンプルで済みます。

そのほか5つの評価法については、こちらの記事でご確認ください。

過剰在庫で困っている会社は必見!会社に与える影響とその改善方法とは

過剰在庫にかかる消費税

前述の通り、仕入れた商品は、売却できたときにはじめて売上原価に計上できるものです。

ところが消費税は、売却時ではなく、商品を仕入れたときにすでに支払っています。つまり仕入れた商品が売れようが売れまいが、必ず消費税を払わなくてはいけないわけです。

ただし途中で課税業者と免税業者の変更がある場合は、消費税の扱いに少々注意が必要です。ある程度規模の大きい会社であれば関係ない話ですが、課税売上高が1,000万円以下の会社は、消費税の納税が免除されます。

当期に免税業者から課税業者へ復帰した場合、免税業者のときに仕入れた商品が期首在庫として残っているならば、その分の消費税を当期の仕入控除税額に含めることが可能です。

反対に、課税業者から免税業者へ変更になるケースでは、期末在庫分の消費税は当期の仕入控除税額には含められません。注意してください。

過剰在庫の処理により期待できる節税効果とは

過剰在庫の処理により期待できる節税効果とは

過剰在庫を処理すると節税になることは、誰でも理解しているでしょう。しかし節税にいたるまでの具体的なプロセスとなると、案外知らなかったりするものです。

この章では、以下の3点について解説していきます。

  • 過剰在庫を売却すると棚卸資産が減少する
  • 売却時の赤字を「損金算入」できる
  • 売却しないなら「評価損」を計上

それではひとつずつみていきましょう。

過剰在庫を売却すると棚卸資産が減少する

冒頭でも話した通り、税金計算の大元になる金額は、「売上総利益 = 売上高 − 売上原価」で求めます。したがって売上原価が少なければ、その分課税対象額が大きくなるわけです。

しかし売上原価に計上されるのは、あくまでも「売れた商品の仕入価格」だけ。売れない在庫は、会社の資産とみなされてしまいます。だから、決算までに棚卸資産(在庫)を処分しましょうという話になるわけです。

もちろん在庫を処分して得られるメリットは、それだけではありません。

まず過剰在庫の保管コストを大幅に削減できます。在庫が減れば、今までかかっていた人件費(時間と手間)も必要なくなるでしょう。

また金融機関から借入れをしている場合、毎年決算書にて在庫状況をしっかりと確認されています。過剰在庫をきれいに処理できれば、金融機関からのマイナス評価を回避できます。

売却時の赤字を「損金算入」できる

過剰在庫を解消する方法として、在庫を破棄して「廃棄損」計上することがよくあります。ただ少しでも収益が欲しい場合は、破棄よりも「値引き販売」がオススメです。なぜなら、少ないながらも現金が手に入りますし、売却分の仕入価格を売上原価に算入できるからです。

もし会計上だけで在庫の損金処理をしようとすると、脱税を警戒されて、適用要件はかなり厳しくチェックされるでしょう。

それならば赤字で販売して、結果的に赤字の損金算入を認めてもらう方が断然スムーズです。とはいえ、もちろん正規の価格で販売できるのに越したことはありません。

過剰在庫の処分方法についてはのちほど詳しく解説しますが、できるだけ赤字の少ない方法で売却を検討しましょう。

売却しないなら「評価損」を計上

さきほどは過剰在庫を売却した際の、赤字処理についてお話ししました。

しかし長期間保管した在庫のなかには、売りたくても売れない状態の商品もあります。こういった在庫を「滞留在庫」とよびますが、決算時に仕入価格よりも時価が下がっていれば、その差額を「評価損」として計上することが可能です。

評価損を計上すれば実態に即したきれいな決算書となり、かりに売上が下がってもかえって金融機関からは評価をされやすいというメリットもあります。

ただし、粉飾決算をつくりやすい項目ですから、評価損の適用要件は決して簡単ではありません。

具体的には、「すでに高性能な類似品が発売されていて、通常の金額では売却が望めない場合」「著しく損傷や劣化した場合」などに該当する必要があり、証明する写真や書類を用意しなければなりません。

参考:第2款 棚卸資産の評価損|国税庁

過剰在庫処理4つの方法とは

過剰在庫処理4つの方法とは

過剰在庫と節税の関係がわかったところで、最後に過剰在庫の処理方法を4つご紹介します。今回ご紹介するのは、以下の4点です。

  • 廃棄処分
  • 値引き販売
  • 買取業者に依頼
  • 過剰在庫の事業者間オークション販売

それでは詳しく解説します。

廃棄処分

過剰在庫の処分で一番確実なのは、在庫を破棄することです。ただせっかく買った(つくった)商品を捨てるのは、どうしても抵抗があるという人も多いでしょう。

しかし売却できない在庫があると税金は高くなり、さらに保管コストもかかります。そういったムダなコストと破棄を秤にかけて、多くの企業は破棄を選ぶわけです。

とはいえ廃棄損と評価損を計上すると、税務署から脱税を警戒されやすくなります。しかし廃棄損(破棄)ならば、実際に在庫を捨てますから、税務署とトラブルになることはまずないでしょう。

その代わり、「破棄した在庫の写真」や「産廃業者の請求書・領収書」など、破棄を証明できる書類は必ず保管しておいてください。

値引き販売

店舗で商品を販売するタイプのビジネスならば、長期在庫になっている商品は値引きセールをおこない、早めに処分してしまいたいところです。

「いつか売れるかもしれない・値引きなんてもったいないと」思われるかもしれませんが、そもそも店舗の品揃えは適度な入れ替えが必要なもの。

「いついっても同じ商品しかいない」と思われたら、集客の面からは致命傷といえるでしょう。

値引き販売には、大きく2つのパターンが考えられます。

ひとつは、「決算大セール」というように、期間限定でおこなうもの。実際のところ、決算セールは集客戦略のひとつとして、定期的に開催するのがもはや当たり前になっています。

もうひとつは、セールに限定せず、過剰在庫品を常時値引き販売するケースです。セール品が一定数販売されていれば、常連の来店頻度を上げるよいきっかけになるでしょう。

ただし常時値引きのケースでは、安売りの店というイメージをつけないためにも、特価品コーナーを設けて販売する方法をオススメします。ワゴン形式にして外部に設置すれば、一見客の集客にも効果的です。

買取業者に依頼

過剰在庫をまとめて素早く処理したい場合は、買取業者へ一括買取りを依頼するのも効果的です。

前述の値引きセールの場合、どうしても在庫処分までにある程度時間がかかります。さらに在庫がすべて売れるとは限らず、残った在庫の処分をあらためて検討しなければなりません。

その点買取業者なら、基本的にまとめて処分が可能です。専門的な商品の場合、複数の買取業者とのやり取りは必要かもしれませんが、それでも大した手間ではないでしょう。

ただし過剰在庫品は、なんらかの原因で正規に売れなかった商品ですのから、どうしても買取価格は低めに設定されてしまいます

過剰在庫の事業者間オークション販売

事業者間オークションとは、文字通り、オークションを通じて会社同士が在庫品の売買をする方法です。事業者間オークションがもっとも活用されているのは、中古車業界でしょう。いまや流通している中古車の85%以上が、オートオークションを介して取引されているそうです。

どういった事業者間オークションを選ぶかにもよりますが、ほかにも「入会金・年会費無料」「小口販売可」「販売制限をつけられる」など、事業者間オークションならではのメリットがたくさんあります。

ヤフオクやeBayといった個人間のオークションと比べて、まだはじまったばかりの「B to B」事業者間オークションですが、適正な取引が期待できるという面では非常に期待がもてる方法ではないでしょうか。

前述の通り、今回ご紹介した4つの方法には、それぞれ異なるメリットとデメリットがあります。どの方法が自分の会社に適しているか、ぜひしっかりと確認してみてください。

まとめ

今回は、過剰在庫に関連する税法上のしくみと、節税について詳しく解説してきました。過剰在庫を解消する具体的な4つの方法についてもご紹介しましたので、これからどうやって過剰在庫を減らし節税していけばいいのか、ある程度方向性が見えてきたかと思います。

いずれにせよ、決算までにはなんらかの方法で過剰在庫を処理しなければなりません。間際になって慌てることのないように、余裕をもって早めに一歩を踏み出してください。

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