過剰在庫の原因と過剰在庫をなくすための3つのポイントとは

会社を経営していらっしゃる人なら、過剰在庫がよくないことは誰でも知っています。しかし「どうして過剰在庫がよくないのか」その理由をあらためて言葉にしようとすると、意外に説明できないものです。原因が明確でなければ、有効な対策も施せません。

そこで今回は、過剰在庫が会社に与える影響・過剰在庫の原因・過剰在庫をなくすためのポイントについて、詳しく解説していきます。

過剰在庫の対処法を検討中の方は、ぜひ参考にしていただければと思います。

過剰在庫が多いとどうしてよくないのか

過剰在庫が多いとどうしてよくないのか

ひとことでいえば、過剰在庫が多いと会社のキャッシュフローが悪化するからです。売れずに在庫として残っている限り現金化できませんので、名目上資産が増えているのに現金が足りない状況になってしまいます。

とはいえ、効率的に販売をおこなうためには、まったく在庫がないのも問題です。この章では、適正な在庫を保つために重要な、以下の3点について解説します。

  • 在庫を処分するまでの期間「在庫回転期間」
  • 1年に何回在庫が回転しているか「在庫回転率」
  • 過剰在庫と滞留在庫の違い

それではひとつずつ解説していきます。

在庫を処分するまでの期間「在庫回転期間」

在庫回転期間とは、仕入れた商品がどのくらいの期間で販売できるかを示した指標です。在庫回転期間が短ければ商品は早く売れて、逆に期間が長ければ過剰在庫になりやすいのがわかります。

在庫回転期間の計算方法は、以下の式で計算できます。

棚卸資産回転期間 = 棚卸資産 ÷ 売上

日・月どちらの単位でも求められますが、生鮮食品などを除いて、通常は月ベースで計算されることがほとんどです。いずれにしても、月次の数字を求める場合は12カ月、日次ベースでは365日で割れば簡単に計算できます。

適正な在庫回転期間は、業種により異なります。日本政策金融公庫の業種別経営指針によると、適正な期間の例は以下の通りです。

  • 製造業:0.7カ月
  • 卸売業:1.1カ月
  • 小売業:1.4カ月
  • 一般飲食店:0.1カ月

ただし上記業界別の数値も、こまかく分類していくとそれぞれ適正な期間は異なります。たとえばパン製造なら0.1カ月のところを、水産食料品製造なら1.2カ月、織物製造は2.1カ月必要です。もう少しこまかく分類して、自分の業界の平均と比較してみてください。

参考:日本政策金融公庫の業種別経営指針

1年に何回在庫が回転しているか「在庫回転率」

在庫回転率とは、ある期間中(通常1年)にどのくらい商品が入れ替わるかを表した指標になります。数字が高いほど回転率がよく、仕入れた商品がどんどん売れている状態です。一方で在庫回転率が低いと、在庫が多く現金化できていないので、なんらかの対策が必要になります。

計算方法は以下の通り。

在庫回転率 = 売上原価 ÷ 棚卸資産(在庫)

ちなみに売上原価の代わりに、売上高を用いても計算は可能です。ただ在庫金額は売上原価で計算しますので、売上原価で計算した方がより正確な数字になります。

計算で導かれた回転率が適正かどうかを確認するには、業界の平均と比較してみましょう。

中小企業庁「中小企業実態基本調査」から計算した在庫回転率の業界別平均値を、一部抜粋してみました。

  • 建設業:9.5回
  • 製造業:7.4回
  • 卸売業:12.9回
  • 不動産業:2.2回

自社の数値が同じ業界の平均値よりも少ないようならば、過剰在庫を疑った方がよいかもしれません。ただしひとことで業界別平均といっても、さらにこまかく分類すれば、適正な在庫回転率は大きく異なります。

この平均値はあくまでも参考値として、ベンチマークしている競合他社の財務諸表もチェックしてみましょう。

参照:中小企業庁の「中小企業実態基本調査」(令和元年度)

過剰在庫と滞留在庫の違い

過剰在庫は簡単にいうと、売れずに倉庫へ保管されている商品のことです。原因はさまざまですが、需要予測を誤り仕入れすぎると、簡単に過剰在庫が起こってしまいます。

一方滞留在庫の場合、売れずに倉庫へ保管されているのは過剰在庫と同じです。その中でも、「消費期限が近い」「パッケージに傷がある」「人気がない」など、今後売れる見込みが非常に少ないものを「滞留在庫」といいます

過剰在庫は通常通りに売れる可能性もありますが、滞留在庫はまず通常の販売が不可能です。保管してもキャッシュフローを悪化させるだけですので、滞留在庫は最優先で処分しましょう。

なぜ過剰在庫が発生?過剰在庫が発生する原因とは

なぜ過剰在庫が発生?過剰在庫が発生する原因とは

過剰在庫が発生する原因は大きく以下の4つになります。

  • 需要の予測
  • 在庫管理のシステムに不備がある
  • 責任者が決まっていない
  • 季節もの・不良品

それではひとつずつみていきましょう。

需要の予測

過剰在庫が発生する最大の理由として、「需要予測の精度」があげられます。

これまではデータ分析ではなく、カンに頼った発注をしてきた会社も少なくありませんでした。そうなると欠品を回避するために、どうしても安全在庫(欠品が出ない最低限の在庫量)を多めに設定するようになります。

需要をできるだけ正確に予測するには、在庫管理ソフトの活用が不可欠です。もしまだ導入していないのであれば、なるべく早く導入を検討してください。

しかし在庫管理ソフトの需要予測機能にしっかりとデータを反映させても、過剰在庫がまったく発生しないわけではありません。天候の崩れやコロナなど、予測不能なできごとが発生すれば、需要は簡単にズレてしまいます。

とはいえきちんとしたルールに沿っておこなえば、突発的な状況を除いて、需要予測の精度を上げることは十分に可能です。

在庫管理のシステムに不備がある

過剰在庫の原因として、需要予測ではなく、そもそも在庫管理がきちんとおこなわれていない状況も考えられます。規模の小さい会社では、「手書き+エクセル」で在庫管理をしているケースもまだまだ多いです。

しかしせっかくバーコードや在庫管理ソフトを導入しているのに、きちんと使いこなしていない会社も少なくありません。

過剰在庫の解消を考える前に、まずは在庫管理システムの活用を徹底してみてはいかがでしょうか。これからは、過剰在庫の現状が一目でわかるように、「在庫の可視化」が非常に重要になってきます。

そもそも責任者が決まっていない

在庫管理の責任者が決っていないと、どうしても過剰在庫が発生しやすくなるものです。

欠品を回避するため、営業部門や製造部門は、多めに仕入れ(製造)をおこなう傾向があります。一方経理部門では、現場の状況にはあまり精通しておらず、あくまでも数字を改善することが目的になりがちです。

ということで、中立的な立場から在庫管理を進める人がいないと、在庫の動きをうまく調整できません。在庫管理責任者には、必ず会社の経営をある程度総合的に判断できる人を選ぶようにしてください。

季節もの・不良品など、返品が多いケースも

夏ものの洋服や手帳のような「季節もの・期間限定商品」は、その性質上どうしても在庫になりやすいです。雑誌のように一定の期間が経過すれば返品されてしまう商品も、在庫になりやすいといえます。

また製造業の場合、製造部門の管理がうまくいかずに、不良品が大量に発生することも考えられます。一旦不良が確定すれば、もう通常販売はできませんので破棄するしかありません。

雑誌であればバックナンバーという形で在庫処分もできますが、不良品は本当に捨てるだけです。本来入るはずだった利益を失い、さらに廃棄処分料がかかります。厳密にいえば過剰在庫の話ではありませんが、不良品が出ないような作業体制を徹底しましょう。

経営者必見!過剰在庫をなくすための3つのポイント

経営者必見!過剰在庫をなくすための4つのポイント

過剰在庫の原因がわかったところで、今度は過剰在庫をなくすためのポイントを解説していきます。過剰在庫をなくすためのポイントは、以下の3点です。

  • 的確な発注量の予測
  • 在庫管理方式の改善
  • 保管場所の管理・整理の徹底

詳しく解説します。

的確な発注量の予測

前述の通り、過剰在庫を削減するには、まず的確な発注量の予測を心がけることです。

売れると予測して仕入れた商品が過剰在庫になる場合、予想不可能な要因と、予測の甘さが原因の2通りが考えられます。

前者は避けようがないとしても、予測の甘さは改善が可能です。基本的に需要予測は、過去の発注をしっかりと分析すれば大きな誤差は生まれません

まずは以下の3点を過去のデータから導きだしましょう。

  • 平均出荷量
  • リードタイム(発注から納品までにかかる時間)
  • 安全在庫(欠品を発生させない最低限の在庫量)

上記の結果、適正な発注量が算出できたら、さらに現在のトレンドや天候・経済動向なども加味しながら最終的な発注量を決定します。ただし変化の早い現代では、より精度の高いAIによる需要予測が今後必須になるかもしれません。

在庫管理方式の改善

適正な発注量がわかっても、在庫状況をリアルタイムで確認できるようにしていかないと、発注量と在庫量のバランス調整ができません。

在庫状況を可視化するには、専用の在庫管理システムを導入するのが一番です。

デジタルの在庫管理システムを使えば、発注すべき商品や発注量を、ある程度自動的に算出してくれます。入出荷の登録もバーコードなどを利用すれば、入力ミスによる在庫増もなくなるでしょう。

保管場所の管理・整理の徹底

保管場所の整理整頓ができておらず、商品を探すのに時間がかかるようでは、在庫管理システムを導入した意味が半減します。

食品や季節ものといった、古いものから販売する必要がある商品は、整理整頓がされていないと在庫の入荷日を確認するだけでも大きな手間です。そうなると面倒くさくなり、つい新しい商品から販売してしまう可能性が高くなります。

在庫管理でロスをなくすポイントは、とにかく同じ種類ごとにまとめて管理することです。ということは、事前に商品ごとの保管場所をきちんと決めておかなければなりません。

合わせて商品名や管理番号・入荷日などを、「商品・棚・箱・通路」へ、誰がみても一目でわかるように表示しておきましょう。

まとめ

今回当記事では、わかっているようで意外にあいまいな「過剰在庫の原因」について、解説してきました。また過剰在庫を解消するための対策法についても、3点ほどご提案しています。

「的確な発注量の予測」「在庫管理方式の改善」「保管場所の管理・整理の徹底」という3つの方法は、どれもが重要なものばかりです。

どういった順番で自社に取り入れていくか、ぜひじっくりと検討されてみてください。

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